エボライドスピード3 レビュー:使い勝手の良いテンポアップシューズ

本コンテンツはcarb エディターチームが実際に着用し独自の基準に基づき制作しています。レビュー製品は全て自費で購入しており提供は受けていません。商品リンクにはアソシエイトリンクを使用しております。

エボライドスピード3

重量

M28cm 225g(US M10)

スタックハイト・ドロップ

ヒール40mm / フォア35mm / ドロップ5mm

ラグ

なし / AsicsGrip

おすすめの用途

テンポアップ / スピード練習

主な特徴

FF BLAST PLUS のミッドソール、AsicsGripアウトソール

価格

メーカー希望小売:15,400円

少し早めのジョグ、閾値走、インターバルからレペティションまで、一般ランナーであれば幅広いワークアウトで使える万能なテンポアップシューズです。

目次

エボライドスピード3 がおすすめな人

カーボンプレート非搭載のテンポアップシューズを探している方や、1足で幅広い練習をカバーしたい方には特におすすめできるシューズです。

万能である半面、突出した特徴があるわけではないため、スーパーシューズのような特別な性能を期待して購入すると、物足りなさを感じる可能性があります。

フルマラソンの目標タイム別用途

サブ4〜サブ5を目指すランナーには「レース用シューズ」として、サブ3.5以上のレベルを目指すランナーには「トレーニング用シューズ」として最適かもしれません。

エボライドスピード3 の良い点と気になる点

エボライドスピード3は、現時点で特に気になる点が見つからない、完成度の高いシューズです。

良い点

  • 優れたコストパフォーマンス
  • 幅広いペースに対応できる
  • 軽量で程よい反発感
  • 高い通気性

気になる点

  • 特になし

サイズ感とフィット

サイズ感

ナイキやアシックスの28cmのランニングシューズを普段着用している筆者が、本モデルも28cmを選んだところ、期待通りのサイズ感でした。スッキリとした履き心地で、足にピッタリとフィットする感覚があります。

大きすぎたり小さすぎたりすることはないため、サイズ選びは普段通りのサイズで問題ありません。ただし、ラスト(足型)はややタイトなため、足幅が広い方はワイドモデルを検討すると良いでしょう。

ヒールカウンター

エボライドスピード3 には、硬質でしっかりとしたヒールカウンターが採用されています。メンズ28cmで約225gと軽量なテンポアップシューズでありながら、デイリートレーナーのような安定感のある履き心地を両立しています。

ヒールカウンターの内側には、必要十分な量のクッション材が入っており、軽量な履き心地と気持ちの良い足入れ感を実現しています。

タン

エボライドスピード3には、近年のレーシングシューズに見られるような、ミニマルな薄いタンが採用されています。

タンにクッション材はほとんど入っていません。そのため、アシックスの「パワーホールドシューレース」のような、より硬く細い靴紐に交換すると、甲に多少の圧迫感を感じるかもしれません。

ガゼットタン(アッパーとタンが部分的に一体化した構造)が採用されており、シューズとの一体感を高めています。このおかげで、ランニング中にタンが左右にずれてしまうことはありません。

アッパー

エボライドスピード3には、通気性の良いエンジニアードメッシュが採用されています。特に足の甲周辺は多くの通気孔が開いたデザインで、ランニング中に足の蒸れを感じることは少ないはずです。

シューレース(靴紐)

ごく一般的なタイプのシューレースが採用されており、こうしたポイントでコストパフォーマンスの高さを実現しているのかもしれません。

一見すると普通のスニーカーに付属していそうなシューレースですが、しっかりと結び目が締まり、ランニング中に緩むこともなく、その役割を十分に果たしてくれます。

あえて言うなら、シューレースが若干短めです(余りがほとんどない感覚)。フィット感を高めるために、一番上の穴(ダブルアイレット)まで使って結びたい方にとっては、ギリギリの長さかもしれません。

トゥボックス(つま先)

甲の周辺は目が粗く編み込まれており通気性を高め、逆につま先の周辺は目が細かく編み込まれることで強度を確保しています。

補強材は入っていませんが、ロードランニングシューズとしては十分な耐久性があると言えます。

クッション

エボライドスピード3のミッドソールには、FF BLAST PLUSが採用されています。前作のFF BLASTと比較して軽量で反発性に優れています。

ヒール部の厚さが約40mm、フォアフット部が約35mmとなっており、薄底シューズと厚底シューズの中間に位置する、程よいスタックハイトです。 「これくらいがちょうど良い」と感じるランナーも多いはずです。

ヒール(踵)

ヒールに体重をかけると適度に沈み込み、FF BLAST PLUS特有の柔らかさともっちりとした反発性を感じることができます。

ミッドソール(中足分)

ミッドソールもヒールと同様に、柔らかさと反発感のあるクッショニングが特徴です。体重73kgの筆者が200mのレペティション(30秒ペース)で前足部に強く体重をかけても、クッションが足りずに足への衝撃が大きすぎると感じることはありませんでした。

エボライドスピード3は、ゆっくりとしたペースよりも、ある程度スピードに乗った時に、心地よい沈み込みと反発を感じやすいかもしれません。

ミッドソール全体に採用されているFF BLAST PLUSは、アシックスのラインナップにおける最上位素材ではありませんが、ワークアウト用のテンポアップシューズとしては必要十分なクッショニング性能だと感じます。

ロッカー

自然な足運びを促す、ロッカー構造(つま先が反り上がった船底形状)が採用されています。ジョグからスピード練習まで、幅広いペースで足運びがスムーズになる感覚があります。

つま先の反り上がりは約6.5cmで、明確なロッカー構造を意図した作りとなっています。一般的なデイリートレーナーと比較すると、しっかりとロッカー機能を感じるため、ロッカー構造のシューズを初めて試す方は、一度試し履きをすることをおすすめします。

初代エボライドや、これまでのエボライドスピードシリーズが好きな方は、きっと気に入るであろう一足です。

安定性

左右の動きの安定性

エボライドスピード3は軽量なテンポアップシューズですが、ヒールカップのホールド感が高く、アッパーも伸縮性の少ないしっかりとしたエンジニアードメッシュなので、高い安定感が得られます。

ヒールの安定感もしっかりと感じることができます。エボライドスピード3は何かに突出した性能を持たない分、全体として非常にバランスの良いシューズと言えるでしょう。

前後の動きの安定性

エボライドスピード3 はシューズに動きを過度に制限されない自然なライド感を維持しつつ、幅広いペースで安定感を感じられるシューズです。

ねじり剛性

エボライドスピード3は、中程度のねじり剛性を備えています。硬さは感じませんが、ある程度のスタックハイトがあるためか、簡単にはねじれません。この適度なねじり剛性も、シューズ全体の安定感に寄与していると考えられます。

ミッドソールの硬さ

柔軟性の高いミッドソールで、足の動きに合わせて自然に屈曲します。比較的弱い力でしっかりと曲がるため、カーボンプレートシューズのようなミッドソールの剛性から生まれる強い反発感は有りません。

ヒールカウンターの硬さ

軽量なテンポアップシューズでありながら、ヒールカウンターにはアシックスらしい、しっかりとしたプラスチックパーツが内蔵されています。ライトな足入れ感と、かかと周りをしっかりと包み込む安心感の両方を感じることができます。

重量

エボライドスピード3(EvoRide Speed 3)の重量(編集部実測値)は、メンズ28.0cm(US 10)で約225gです。METASPEEDシリーズと比較すると重量はありますが、MAGIC SPEEDシリーズよりは軽量な作りになっており、アシックスのラインナップの中でも軽量な部類のシューズです。

アウトソール・グリップ

アウトソール

アウトソールには、グリップ力に定評のあるAsicsGripが採用されています。アウトソールの形状はMAGIC SPEEDシリーズと同様のパターンを採用しており、こうした部分でコストの最適化が図られているようです。

ラバーは前足部を中心に配置されており、フォアフット着地をするランナーが履くことを想定した設計思想がうかがえます。とはいえ、ヒールから中足部にかけても必要最低限のラバーは設置されているため、ヒール着地で滑るということはありません。

ラグの深さ

ロード用のシューズのため、トレイルシューズのようなラグはありません。 エボライドスピード3のアウトソールラバーは、柔らかく粘性が高いAsicsGripが使われているように感じられ、路面をしっかりと捉えるようなグリップ感があります。

濡れたサーフェスでのグリップ

一般的な乾いたアスファルトの上で、力強く前足部を滑らせるようにしてテストを行いましたが、全く滑りませんでした。乾いた路面であれば、まず滑る心配はないでしょう。

次に同じアスファルトに水をまき、雨天時を想定してグリップテストを実施しましたが、動画のように濡れた路面でも全く滑る感覚はありませんでした。

エボライドスピード3のグリップは非常に安心感が高いですが、雨天時に金属製の側溝の蓋やマンホールの上を走る際は滑る可能性があるためご注意ください。

インソール

インソールは取り外し可能です。厚さは約3mmで、もっちりとした適度な反発感のある素材が採用されています。

ただし、インソールに通気孔はないため、発汗量の多い夏場などは、足裏に汗が溜まる感覚があるかもしれません。

エボライドスピード3 のスペック一覧

メーカーasics(アシックス)
商品名EvoRide Speed 3(エボライドスピード3)
価格メーカー希望小売:15,400円
SKU1011B969.001
発売日2025年3月13日
重量M28cm 225g(US M10)
幅 /ラストスタンダード
ミッドソールFF BLAST PLUS
カーボンプレート無し
スッタックハイトヒール:40mm
フォア:35mm
ドロップ:5mm
ロッカーロッカー:有り
つま先の反り上がり:約65mm
アッパーエンジニアードメッシュ
アウトソールAsicsGrip(アシックスグリップ)
ラグ5mm
防水性無し
シューレース通常、吸水性有り
インソール取り外し可能
サーフェス/
タイプテンポアップ・スピード練習
その他/
目次