主観的運動強度 (RPE / Rating of Perceived Exertion)

主観的運動強度(RPE)とは、運動を行っている本人が、そのきつさを「どれくらいきつい(あるいは楽だ)」と感じているかを数値化した指標のことです。

最も代表的な評価方法に、スウェーデンの心理学者グンナー・ボルグが考案した「ボルグスケール」があります。これは、数値を6(安静時)から20(もう動けない限界)までの15段階で表すもので、この数値を10倍すると、おおよその心拍数(若年〜中年の場合)と一致するように設計されています。

しかし、6から始まる数値は直感的にイメージしづらいため、近年のスポーツ現場ではよりシンプルな「1〜10」の段階で評価する方法(修正ボルグスケール等)も広く普及しています。

以下の表は、この10段階評価をベースに、持久系アスリートのトレーニング強度、会話の余裕度、心拍ゾーンの相関を整理したものです。

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RPE強度イメージトークテスト心拍ゾーン
9-10非常にきつい〜最大努力
数秒〜数分しか持続できない。
会話不能
呼吸が激しく言葉を発せない。
Zone 5
最大強度
7-8きつい (LT値)
快適なきつさの限界。
単語のみ
短い返事がやっと。
Zone 4
ハード / 閾値
5-6普通〜ややきつい
適度な努力感。
途切れがち
会話は可能だが、少し辛い。
Zone 3
モデレート
3-4楽〜普通
このまま何時間でも動ける感覚。
会話可能
無理なく会話ができる。
Zone 2
イージー
1-2非常に楽
努力感はほぼない。
自由
楽に会話ができる。
Zone 1
リカバリー

持久系アスリートにとって、心拍計やパワーメーターなどの客観的な数値は不可欠ですが、その日の体調、疲労の蓄積具合、気温や湿度などの環境要因によって、数値と実際の負担感にズレが生じることがあります。

主観的運動強度は、そうした「身体が実際に感じている総合的な負担」を把握するのに優れています。客観的データ(心拍数など)と主観的データ(RPE)の両方をモニタリングすることで、オーバートレーニングの兆候(心拍数は上がらないのにRPEが高いなど)を早期に発見したり、数値に頼れない状況でのペース感覚を磨いたりするために広く活用されています。