アグラビックスピードレビュー:薄底・高反発で攻める、スピード特化のレースシューズ

本コンテンツはcarb エディターチームが実際に着用し独自の基準に基づき制作しています。レビュー製品は全て自費で購入しており提供は受けていません。商品リンクにはアソシエイトリンクを使用しております。

アグラビックスピード

重量

M28cm 248g(US M10)

スタックハイト・ドロップ

ヒール30mm / フォア22mm / ドロップ8mm

ラグ

中央3mm / 外側4mm / Continental™ラバーアウトソール

おすすめの用途

スピードトレーニング、レース、スカイレース

主な特徴

LIGHTSTRIKE、LIGHTSTRIKE PROの2層ミッドソール、Continental™ラバーアウトソール

価格

メーカー希望小売:22,000円

レスポンスの良さが際立つシューズです。LIGHTSTRIKE PROの気持ちの良い柔らかさと反発感をダイレクトに感じることができます。機能性を追求したストイックな仕様のため、履く人を選ぶ一足と言えるでしょう。

目次

アグラビックスピード がおすすめな人

レスポンスが良く、軽量で走れるシューズを探している方におすすめです。適度なクッショニングとしっかりとした接地感があるため、トレイルランニングだけでなく、登りがメインとなるスカイレースやVK(バーティカルキロメーター)でも真価を発揮します。

一方でアッパーは極限まで軽量化されており、ヒールカップの補強材なども必要最低限に抑えられています。非常にミニマルでストイックな履き心地のため、サポートを求める初心者の方は、別のシューズを選んだ方が良いかもしれません。

アグラビックスピード の良い点と気になる点

アグラヴィック スピードは、無駄を極限まで省き、接地感と反発感を絶妙にミックスしたスピード特化型のシューズです。30km程度までのショートレースに特におすすめです。

良い点

  • LIGHTSTRIKE PROの弾むような反発感
  • 接地感が高く、路面をコントロールしやすい
  • 軽量で非常に高い通気性

気になる点

  • 若干長さを感じるサイズ感
  • シューレースキーパーが付属していない
  • タンが少し短め

サイズ感とフィット

サイズ感

ナイキやアシックスの28cmのランニングシューズを普段着用している筆者が、本モデルも28cmを選んだところ、若干余裕を感じるサイズ感でした。

これはシューズのラスト(足型)が大きいというよりは、アッパーやヒールカウンターの補強材、クッション材が必要最低限に抑えられているため、シューズ内部の空間が通常のシューズより広く感じられることが影響しています。

普段から余裕のあるサイジングを選んでいる場合は、ハーフサイズ下げた方がフィット感が高まる可能性があります。可能な場合は、店頭での試し履きをおすすめします。

ヒールカウンター

トレイルシューズとしては珍しいほど、極限までミニマルなヒールカウンターが採用されています。

かかとを物理的に保護するようなプラスチックの硬い補強材は入っておらず、形状を維持するための最低限の素材のみで構成されています。

かかと部分までせり上がった(1cm弱)ミッドソールのLIGHTSTRIKEが、実質的なヒールカップのような役割を果たしており、安定感を高めています。

非常にミニマルな作りですが、かかと周りのフィット感が悪いわけではありません。かかとが当たる部分にはグリップ感の強いスウェード調の素材が採用されており、見た目からは想像できないほどホールド感は良好です。

タン

クッション材がほとんど入っていない、ストイックな仕様のタンが採用されています。快適性よりも軽量性とスピードに振り切ったデザインです。シューズの快適性が重要になるミドルディスタンス以上のトレイルレースには向かないかもしれません。

また、結び目がタンの端ギリギリにくるほど、タンの長さは短めです。

ガゼットタン(アッパーとタンが一体化した構造)には、伸縮性と通気性の高いメッシュで作られた素材が採用されています。薄手ですが、柔らかく足当たりの良い素材です。

アッパー

縦方向にも横方向にもほとんど伸縮しない、ナイロンのウーブンアッパーが採用されています。ランニング中に生地が伸び縮みしないため、激しい動きでもフィット感を維持できます。

インソールの色が透けて見えるほど通気性が良く、発汗量の多い高強度のレースには最適の仕様です。

シューレース(靴紐)

近年のレース用シューズに多く見られる、解けにくいタイプのシューレースが採用されています。表面の凹凸がシューレースホールや紐同士に噛み合うため、トレイルでの激しい動きでもズレや解けを感じることはありませんでした。

余った紐を収納できるシューレースキーパーがついていれば、より快適だったかもしれません。

トゥボックス(つま先)

トゥボックスには硬い芯材は入っておらず、アッパーの上にラバー系の補強材が貼られています。

つま先周りに不自然な硬さがないため、足の指先を比較的自由に動かすことができ、ストレスがありません。

クッション

アグラヴィック スピードは、足側にLIGHTSTRIKE(安定性)、地面側にLIGHTSTRIKE PRO(反発性)という2層構造のミッドソールを採用しているのが特徴です。

比較的硬めのLIGHTSTRIKEが、バケットシートのようにかかとから中足部を包み込む形状になっており、アッパーの補強材としての役割も果たしています。これにより、柔らかい弾性素材を使いながらもフォームの横ブレを抑制し、シューズ全体の安定性を向上させています。

ヒール部の厚さが約33mm、フォアフット部が約22mmとなっており、ドロップは8mmです。見た目以上にスタックハイトが低く、接地感を感じやすいのが特徴です。

ミッドソールの柔らかさ


ミッドソールの特性を客観的にデータ化するため、硬度計(デュロメーター)を使用してフォームの硬さを測定しました。 

計測箇所硬度(平均値)
ミッドソール上層(LIGHTSTRIKE / 足裏側)45.7 HA
ミッドソール下層(LIGHTSTRIKE PRO / 地面側)33.9 HA

※測定はシューズのミッドソール5箇所で行い、その平均値を算出しています。

足裏に触れる側には硬めのLIGHTSTRIKEが配置されていますが、実際に履いてみると、その下にあるLIGHTSTRIKE PROの柔らかさと反発性を十分に感じることができます。

体重約73kgの筆者がその場でジャンプをすると、LIGHTSTRIKE PROのフォームが適度に沈み込み、心地よい反発が返ってくる印象がありました。アディダスのロード用シューズ(ADIZEROシリーズなど)のLIGHTSTRIKE PROの感触が好きな方は、きっと好感触を得られるはずです。

ヒール(踵)

ヒール部分のスタックハイトは約33mmで、LIGHTSTRIKE PROのもっちりとした反発感を強く感じます。

林道などの踏み固められた路面では、高いエネルギーリターンが期待できそうです。

ミッドソール(中足分)

前足部のスタックハイトは約22mmです。ヒール部と同様に、中足部でも強い反発感を感じることができます。プレートが入っていないシューズですが、ゴツゴツしたテクニカルなトレイルでテストした際も、岩や木の根による突き上げを不快に感じることはありませんでした。

強い反発感が必要のないつま先部分は、硬くて安定性の高いLIGHTSTRIKEのみの構成に切り替わっており、岩につま先をかけて登るようなテクニカルなコースレイアウトにも対応できる、こだわりの設計になっています。

ロッカー

接地感や足さばきの良さが意識された設計ですが、適度なロッカーも感じる作りです。

つま先の反り上がりは約6cmあり、ロッカー構造による推進力を明確に体感できる設計になっています。

安定性

左右の動きの安定性

前足部が22mmと低めに設定されているため接地感が高く、速いペースでトレイルを攻めても自分の足でコントロールできる安心感があります。

ヒールの高さが33mmと昨今の厚底シューズと比較して控えめなことや、かかと周りに過度なフォームの出っ張りがないため、高い安定感と取り回しの良さを感じさせてくれます。

ねじり剛性

硬度の高いLIGHTSTRIKEフォームが中足部を支えるシャンクのような役割を果たしているため、適度なねじり剛性が確保されています。 不整地での着地時もシューズが過度にねじれることなく、安定した足運びをサポートしてくれます。

ミッドソールの硬さ

アグラヴィック スピードにはプレートが入っていませんが、ミッドソールは簡単には曲がりません。トレイルでの安定感を維持するために、硬めのLIGHTSTRIKEを中足部に厚く配置していることが影響していると考えられます。

ヒールカウンターの硬さ

極限までミニマルなヒールカウンターです。硬い芯材などは入っておらず、手で押すと簡単に潰すことができる柔らかさです。

重量

アグラヴィック スピードの重量(編集部実測値)は、メンズ28.0cm(US 10)で約248gです。スピードレース用のトレイルシューズとしては、トップクラスの軽量性を誇ります。

アウトソール・グリップ

アウトソール

アウトソールには耐久性と耐摩耗性に優れる、Continental™(コンチネンタル)ラバーアウトソールが全面に採用されています。

軽量化のために肉抜きされることが多いレース用モデルですが、あえて全面にラバーを配置することで、トレイルでの高い安心感を生み出しています。

中央のラグは3mmと低めに設定されており、アスファルトの上でもラグの凹凸による不自然さを感じることなく、一般的なランニングシューズと遜色のない感覚で走ることができます。

ラグの深さ

中央のラグは3mm、外側のラグは4mmと、部分的に高さを変えたこだわりの設計です。 これにより、フラットで硬いサーフェスでは違和感なくスピードに乗ることができ、グリップが必要な場面では、外側に配置された4mmのラグがしっかりと効くという安心感があります。

濡れたサーフェスでのグリップ

アグラヴィック スピードのContinental™ラバーアウトソールは粘り気が強く、濡れた岩でもしっかりとグリップします。また、力を入れて登るような場面では、外側の4mmラグが確実に路面を捉えてくれます。

中央のラグは3mmと低めですが、前足部のスタックハイトが22mmと低重心なこともあり、シューズ全体にしっかりと体重を乗せられる感覚があるため、スリップの不安は少ないです。

登りと下リのグリップ

接地感が強い作りなので、テクニカルな下りでも自在にコントロールでき、安心してスピードに乗れるシューズです。

前足部は薄めの作りですが、岩などの突き上げによる痛みを感じることはありませんでした。

アグラヴィック スピードは、軽さとフィット感が非常に高いため、複雑なトレイルでも軽快な足さばきを強力にサポートしてくれます。

インソール

比較的厚めでクッション性が高いインソールが採用されていますが、ミッドソールに接着されているため、基本的に取り外しはできません。

お手持ちのインソールに交換したい場合は、ドライヤーなどで慎重に温めながら剥がせる可能性はありますが、メーカー非推奨の方法であり、シューズを傷めるリスクも伴いますのでご注意ください。

アグラビックスピード のスペック一覧

メーカーadidas(アディダス)
商品名Terrex Agravic Speed(テレックス アグラヴィック スピード)
価格メーカー希望小売:22,000円
SKUJI0949
発売日2025年7月18日
重量M28cm 248g(US M10)
幅 /ラストスタンダード
ミッドソールLIGHTSTRIKE、LIGHTSTRIKE PROの2層ミッドソール
ミッドソールの硬度ミッドソール上層(LIGHTSTRIKE / 足裏側)45.7 HA
ミッドソール下層(LIGHTSTRIKE PRO / 地面側)33.9 HA
カーボンプレート無し
スッタックハイトヒール:33mm
フォア:22mm
ドロップ:8mm
ロッカーロッカー:有り
つま先の反り上がり:約60mm
アッパーウーブンアッパー
アウトソールContinental™ラバーアウトソール
ラグ中央3mm / 外側4mm
防水性無し
シューレースレーシングタイプ、吸水性無し
インソール取り外し不可
サーフェス得意:走れるトレイル、硬いサーフェス
苦手:柔らかく濡れたサーフェス
タイプスピードワークアウト・レース
その他無し
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