Fuji Lite 5 レビュー:バランスの良いオールラウンダー

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Fuji Lite 5

重量

M28cm 279g(US M10)

スタックハイト・ドロップ

ヒール33mm / フォア29mm / ドロップ4mm

ラグ

4mm / AsicsGrip

おすすめの用途

デイリートレーナー

主な特徴

FF BLASTのミッドソール、AsicsGripアウトソール、シューレースキーパー

価格

メーカー希望小売:14,300円

履き心地が良く、軽量で安定感のあるトレイルランニングシューズです。トレーニングからレースまで幅広く使える、バランスの取れた一足だと感じます。

目次

Fuji Lite 5 がおすすめな人

Fuji Lite 5は、中級から上級者のデイリートレーナーとしての用途や、初めてトレイルランニングシューズを選ぶ初心者にもおすすめできるモデルです。練習で気兼ねなく使いたい方や、最初の一足に何を選べば良いか迷っている方には特におすすめします。

性能とコストパフォーマンスのバランスが良いシューズですが、あえて言うなら、突出した特徴がないシューズとも言えます。より速く走りたい上級者や、高いクッション性を重視するウルトラランナーの方は、それぞれの用途に特化したシューズを選んだ方が満足できるかもしれません。

Fuji Lite 5 の良い点と気になる点

Fuji Lite 5はバランスの取れた優れたシューズですが、主な良い点と気になる点を以下にまとめました。

良い点

  • 優れたコストパフォーマンス
  • しっかりとした作りでフィット感が良い
  • 上位モデルと同じAsicsGripを採用した高いグリップ力
  • 安定性が高い
  • 全体的にプロテクションがしっかりしている

気になる点

  • シューレースキーパーがやや緩い
  • 通気性が低い

サイズ感とフィット

サイズ感

ナイキやアシックスの28cmのランニングシューズを普段着用している筆者が、本モデルも28cmを選んだところ、期待通りのサイズ感でした。スピードモデルのFuji Speed 3と比較すると、中足部はややゆとりのある足型を採用しています。

大きすぎたり小さすぎたりすることは基本的にないため、いつも履いているアシックスのランニングシューズと同じサイズを選べば問題ないでしょう。

ヒールカウンター

硬質でしっかりとしたヒールカウンターが採用されており、安定感や履き心地を重視したモデルであることがうかがえます。ヒールカウンター自体に硬さはあるものの、足に当たるなどの不快感はありません。

ヒールカウンターの内側には、ボリュームのあるクッション材が豊富に使用されています。その結果、かかと周りが保護されている感覚があり、安心感のある足入れを実現しています。ただし、ミニマルで軽い感覚のシューズを好む方にとっては、このクッション材のボリュームが少し過剰に感じるかもしれません。

タン

長めのタンにも、クッション材がしっかりと入っています。このクッション材が、シューレースを締めた際の甲への圧迫感を軽減してくれます。

ガゼットタン(アッパーとタンが部分的に一体化した構造)を採用しており、ランニング中のタンの左右へのズレを軽減します。

アッパー

厚みのあるウーブンアッパー(編み込み式のアッパー)が採用されており、耐久性と履き心地が優先されています。その反面、アッパーには目立った通気孔などは設けられておらず、通気性はあまり高いとは言えません。

シューレース(靴紐)

ナイロン素材のシューレースが採用されています。シューレースを締める際も滑りが良く、フィット感の調整がしやすい素材です。

シューレースキーパー(シューレースを収納するループ)も付属しています。ですが、Fuji Speed 3と同様にやや緩めなので、シューレースをしっかりと固定する力はそれほど強くありません。ランニング中にすぐ飛び出してくることはありませんでしたが、シューレースキーパーの位置がもう少し高い位置にあれば、より安心して走れると感じました。

トゥボックス(つま先)

トゥボックスは、アッパーを覆う形で補強材がコーティングされています。これにより、木の枝や岩などにアッパーが直接触れるのを防ぎ、引っかき傷などが起きにくい、耐久性を重視した仕様になっています。

また、このコーティングとアッパー素材の中間には柔軟なパーツが挟まれており、耐久性の向上とトゥボックスの形状維持に貢献しています。ただし、コーティングによってアッパーが覆われているため、トゥボックス周りの通気性は低く、ランナーによっては熱がこもりやすいと感じるかもしれません。

クッション

ミッドソールには、FF BLASTが採用されています。非常に強いエネルギーリターンを感じるタイプの素材ではありませんが、Fuji Lite 5の主な用途を考えると必要十分であり、軽量性と適度なクッショニングを両立させています。

ヒール(踵)

強く踏み込んでもミッドソールが大きく沈み込むことはなく、強い反発感というよりは、一定の硬さによる安定感が感じられるヒールです。

ミッドソール(中足分)

ミッドソールもヒールと同様に、安定感のあるクッショニングが特徴です。中足部で約29mmの厚みがあるため、サーフェスの岩や木の根を踏んでも、強い突き上げを感じることはありません。

ミッドソール全体には、クッション性と安定性に優れたFF BLASTを採用。強い反発力を追求した素材ではありませんが、どのようなサーフェス状況でも安心して足を置ける、オールラウンドな特性を持つ素材だと感じます。

ロッカー

自然な足運びを促す、ロッカー構造(つま先が反り上がった形状)が採用されています。Fuji Speedシリーズと比較するとロッカーのカーブは緩やかで、テクニカルなトレイルでも違和感を覚えにくい形状です。

つま先の反り上がりは約5.5cmです。トレイルでの安定性を損なうことなく、ロッカー構造による推進力の恩恵も感じられる、絶妙なバランスの高さだと感じます。ここにも、オールラウンドなシューズとしての設計思想がうかがえます。

安定性

左右の動きの安定性

Fuji Lite 5は全体的なフィット感が非常に高く、ヒールカップからトゥボックスに至るまで比較的剛性の高い素材が使用されているため、ランニング中の安定性も優れています。左右に力がかかるような場面でも、足が大きくブレる感覚はありません。

ヒールも安定感重視の作りです。アウトソールのヒール周りには、フラットな接地感が出るように幅広のラバーが配置されており、軽量性よりも安定性を優先した設計が見て取れます。

ねじり剛性

Fuji Lite 5は硬すぎず柔らかすぎない、中程度のねじり剛性を備えており、足の自然な動きを阻害しません。

ミッドソールの硬さ

ミッドソールは適度に屈曲するため、足の自由な動きが制限されることはありません。この屈曲性の高さは、特に登りの際にアウトソールがサーフェスに接する面積を増やし、グリップ力の向上にも貢献します。

ヒールカウンターの硬さ

しっかりとした剛性の高いヒールカウンターが採用されており、トレイルでのスピードや軽量性よりも、安定感と快適な履き心地を重視した作りになっています。

重量

重量(編集部実測値)は、メンズ28.0cm(US 10)で約279gです。レーシング用途のシューズと比較するとやや重めですが、プロテクション重視のロングトレイル用シューズと比較すると軽量であり、バランスの取れた重さと言えます。

決して重すぎるシューズではないため、ランナーによってはショートディスタンスからミドルディスタンスのレースでも十分に対応できる重量感です。

アウトソール・グリップ

アウトソール

アウトソールには、グリップ力に定評のあるAsicsGripが採用されています。細かな段差を設けた独特な形状のラグ(突起)が特徴です。この山型のラグ形状は、接地面積を増やすことでグリップ力の向上が期待できます。

ヒール部分には、面積の広いフラットなラグが採用されており、かかと着地時のぐらつきを抑制。ハイキングやパワーウォークといった、ゆっくりとした動きでも足元のブレが少ない作りになっています。

ラバーはアウトソールのほぼ全面に配置されています。上位モデルのFuji Speedシリーズと比較すると、ラグの数や配置が異なり、ここでも安定性を重視した設計思想がうかがえます。

ラグの深さ

ラグの深さは約4mmです。確かなグリップ力を確保しつつ、スムーズな走行感を損なわない絶妙な高さに設定されています。ラグの数も多いため、滑りやすいサーフェスでも強いグリップを感じることができます。

一方で、この4mmのラグが十分に刺さらないような、非常に柔らかい泥濘地などではグリップ力が物足りない可能性があります。トレイルのコンディションに応じて他のシューズと履き分けるのが賢明です。

濡れたサーフェスでのグリップ

湿った岩場で、体重約73kgの筆者が全体重をかけてもしっかりとグリップし、滑ることはありませんでした。

登り方向のグリップも同様に安心感があります。カーボンプレート入りのシューズなどと比較すると、ミッドソールの柔軟性が高いため、シューズが屈曲した際にサーフェスに接する面積が増え、その結果として摩擦力が増し、より強いグリップを感じることができます。

登りと下リのグリップ

Fuji Lite 5は、下りも安心して走れるグリップ力を備えています。ミッドソールのFF BLASTは強い反発力こそないものの、スピードが乗った下りでも自分でしっかりとシューズをコントロールしている感覚が得られます。そういった面でも、初心者の最初の一足としておすすめできます。

AsicsGripを採用したFuji Lite 5は、登りでもラグがしっかりと路面を捉えてくれる感覚があります。

インソール

インソールは取り外し可能です。厚さは約3mmで、もっちりとした適度な反発感のある素材で作られています。

ただし、インソールに通気孔はないため、発汗量の多い夏場などは、足裏に汗が溜まる感覚があるかもしれません。

Fuji Lite 5 のスペック一覧

メーカーasics(アシックス)
商品名Fuji Lite 5(フジライト5)
価格メーカー希望小売:14,300円
SKU1011B889.020
発売日2024年6月
重量M28cm 279g(US M10)
幅 /ラストスタンダード
ミッドソールFF BLAST
カーボンプレート無し
スッタックハイトヒール:33mm
フォア:29mm
ドロップ:4mm
ロッカーロッカー:有り
つま先の反り上がり:約55mm
アッパーウーブンアッパー
アウトソールAsicsGrip(アシックスグリップ)
ラグ4mm
防水性無し
シューレース通常、吸水性有り
インソール取り外し可能
サーフェス得意:オールラウンド
苦手:無し
タイプデイリートレーナー
その他シューレースキーパー付き
目次