Asics FujiSpeed 3 レビュー:走れる万能シューズ

本コンテンツはcarb エディターチームが実際に着用し独自の基準に基づき制作しています。レビュー製品は全て自費で購入しており提供は受けていません。商品リンクにはアソシエイトリンクを使用しております。

FujiSpeed 3

重量

M28cm 255g(US M10)

スタックハイト・ドロップ

ヒール36mm / フォア30mm / ドロップ6mm

ラグ

4mm / AsicsGrip

おすすめの用途

走れるトレイル / レースやポイント練習

主な特徴

FF BLAST PLUS のミッドソール、フルレングスのカーボンファイバープレート、AsicsGripアウトソール、ほどけにくいシューレース

価格

メーカー希望小売:17,600円

強い反発力が感じられ、履いていて非常に楽しい一足です。グリップ性能も確かなため、テクニカルなトレイルでも安心して履くことができます。スピードを求める中級以上のランナーに適したシューズと言えるでしょう。

目次

Asics FujiSpeed 3 がおすすめな人

FujiSpeed 3 は、トレイルをより速く走りたい中級者から上級者のランナーにおすすめです。アウトソールにはグリップ力に定評のあるAsicsGripを採用しており、ほとんどの路面状況で安心して走行できます。

Asics FujiSpeed 3 の良い点と気になる点

FujiSpeed 3は全体的に満足度の非常に高いシューズですが、ここでは主な良い点と気になる点をまとめました。

良い点

  • 強い反発力でスピードに乗りやすい
  • 信頼性の高いグリップ力
  • 軽量性と優れたフィット感(ただし個人差があります)
  • 適度なスタックハイトとカーボンプレートによる突き上げ軽減効果

気になる点

  • タンがやや短い
  • シューレースキーパーのゴムが緩い

サイズ感とフィット

ナイキやアシックスの28cmのランニングシューズを普段着用している筆者が、本モデルも28cmを選んだところ、期待通りのサイズ感でした。

サイズ感

メーカー表記はスタンダードフィットですが、Fuji Liteシリーズのようなカーボンプレート非搭載モデルと比較すると、中足部の足型はやや細めに感じられます。

フィッティングは個人の足型や好みに大きく左右されますが、一般的なデイリートレーナーと比較して、足と一体化するような高いフィット感が得られます(ただし、窮屈な感じはありません)。

ヒールカウンター

かかとをしっかりと包み込む高めのヒールカウンターには、内部に硬質のプラスチック補強が施されています。ヒール周りには柔らかい素材が用いられており、足入れもスムーズです。

タン

タンには適度な厚みのパッドが入っており、シューレースによる圧迫感を和らげます。V字型のスリットが設けられているため、ランニング中の足首の自然な動きを妨げにくい設計です。

ただし、タンの長さがやや短いため、ランナーによってはランニング中にタンが前方へずれる可能性が考えられます。

ガゼットタン(アッパーとタンが一体化した構造)を採用しているため、ランニング中にタンが左右にずれることはありませんでした。これはフィット感の向上にも貢献しています。

アッパー

アッパーには、柔らかいジャカードメッシュ素材を採用しています。この柔らかさが優れたフィット感に貢献している一方で、トレイルで木の枝などに引っ掛けた場合、破損しやすいのではないかという懸念も感じられます。耐久性については、それほど高くないという印象です。

シューレース(靴紐)

近年のレーシングシューズに多く見られる、解けにくいタイプのシューレースがFujiSpeed 3にも採用されています。長時間のランニングでも解けにくいのが大きなメリットです。

また、最近のレーシング用トレイルシューズでは標準的になりつつあるシューレースキーパー(シューレースを収納するゴムバンドなど)も備わっていますが、このゴムが非常に緩く、シューレースをしっかりと固定することができません。

ランニング中にシューレースが完全に抜けてしまうほどの緩さではありませんが、やや気になる点です。

トゥボックス(つま先)

トゥボックスには柔軟性のある補強材が内蔵され、その上からソフトなオーバーレイがプリントされています。前足部にも適度なゆとりがあり、緩すぎず快適な履き心地です。

クッション

FujiSpeed 3のミッドソールには、反発性に優れたFF BLAST PLUS が採用されています。柔らかすぎず硬すぎない、バランスの取れたクッショニングが特徴で、短い距離から長距離のランニングまで幅広く対応できる印象です。

ヒール(踵)

ヒール部ではFF BLAST PLUSの適度な柔らかさが感じられます。木の根や岩など、足裏に衝撃が伝わりやすい路面でも、強い突き上げを感じにくく、快適に走り抜けることができます。

ミッドソール(中足分)

ヒール部と同様に、中足部でも十分なクッショニングを体感できます。フルレングスのカーボンプレートが、路面からの突き上げを軽減する効果も発揮している印象です。

ミッドソール全体には、反発性に優れ、ソフトな接地感を提供するFF BLAST PLUS を使用。これはアシックスのラインナップにおける最上位のフォームではありませんが、多くのランナーにとって十分なパフォーマンスを発揮するスペックを備えています。

ロッカー

自然な足運びを促す、やや強めのロッカー構造(つま先が反り上がった形状)が採用されています。そのため、走れる区間が少ない急峻な山岳コースやスカイレースには、あまり適していないかもしれません。

一方で、比較的斜度が緩やかで走れるトレイルでは、このつま先の反り上がりとフルレングスのカーボンプレートの相乗効果により、脚の筋力消費を抑えながら効率的に走れる感覚があります。

つま先の反り上がりは約6.5cmあり、他社のトレイル用レーシングシューズと比較しても、明確なロッカー構造を意図した設計と言えます。 ゼロドロップシューズのような、より自然な履き心地を好むランナーには、フィーリングが合わない可能性があります。

安定性

左右の動きの安定性

ヒール部分で36mmと比較的高めのスタックハイト(ソールの厚み)でありながら、安定感のある履き心地です。アッパーのフィット感も優れているため、左右への体重移動が大きい場面でも、足のブレはほとんど感じられません。

ただし、ヒール単体での安定性はそれほど高くない印象です。ウォーキングやパワーウォークを多用するようなテクニカルな場面では、別のシューズを選択した方が賢明かもしれません。

このシューズは、ゆっくりとした動きよりも、ある程度のスピードを出し、ミッドソールが適度に沈み込むことで安定性が増すタイプと言えるでしょう。

ねじり剛性

FujiSpeed 3は、非常に高いねじり剛性を備えています。手で左右にひねろうとしても、ほとんど変形しません。

ミッドソールの硬さ

フルレングスのカーボンプレートが内蔵されているため、縦方向の剛性も非常に高く、ミッドソールを縦に折り曲げようとしても、ほとんど曲がりません。

これにより足の自由な動きはある程度制限されますが、カーボンプレートによる推進力を得るためには避けられないトレードオフと言えるでしょう。

ヒールカウンターの硬さ

ヒールカウンターは硬すぎず柔らかすぎない、絶妙な硬さに調整されています。この適度な硬さが、FujiSpeed 3の優れたフィット感に貢献している要素の一つです。

重量

重量(編集部実測値)は、メンズ28.0cm(US 10)で約255gです。 200g前後の超軽量トレイルシューズと比較すると若干の重量感はありますが、フルレングスのカーボンプレートを搭載し、十分なクッション性も備えていることを考慮すると、非常に軽量な部類に入ります。

アシックスの上位モデルである「METASPEED TRAIL」(M27cmで約261g)と比較しても、FujiSpeed 3の方がやや軽量に仕上がっています。

アウトソール・グリップ

アウトソール

アウトソールには、グリップ力に定評のあるAsicsGripが採用されています。今作では、細かな段差を設けた独特な形状のラグ(突起)が特徴です。この山型のラグ形状は、接地面積を増やすことでグリップ力を向上させる効果が期待できるとのことです。

ラバーはアウトソールのほぼ全面に配置されており、テクニカルな路面でも安心して足を接地できます。AsicsGripの信頼性は非常に高いと言えるでしょう。

ラグの深さ

ラグの深さは約4mmで、確かなグリップ力を確保しつつ、スムーズな走行感を損なわない絶妙な高さに設定されています。特に硬く締まった路面では、このラグの高さが非常に走りやすく感じられます。

一方で、雨などでぬかるんだ非常に柔らかい路面ではグリップ力が物足りなく感じる可能性があるため、コンディションに応じて他のシューズと履き分けるのが賢明でしょう。

濡れたサーフェスでのグリップ

雨天の翌日、濡れた岩場でのグリップ性能を試しました。濡れた岩に体重をかけてみても、しっかりと地面を捉えてくれます。完全に静止するほどのグリップではありませんが、不意に滑ることなく、身体を確実にコントロールできる感覚がありました。

登りにおいても同様に、濡れた岩場で確かなグリップを感じ取れます。ただし登りでは、つま先で荷重するため接地面積が小さくなり、足の置き方によっては若干滑ることもあります。しかし、下りの際と同様に、コントロール可能な範囲であり、不安を感じることはありませんでした。

登りと下リのグリップ

適切な位置に足を置くことを意識すれば、濡れた岩場でもスリップを恐れずに積極的に攻めることができます。

登りに関しても、比較的フラットな岩場であれば、滑りを気にすることなくスムーズな足運びが可能です。

インソール

薄手のインソールがミッドソールに接着されており、基本的には取り外しできない仕様です。

しかし、接着の強度はそれほど高くないため、自己責任にはなりますが、お持ちのインソールに交換したい場合は、ドライヤーなどで慎重に温めながら剥がせる可能性はあります(ただし、メーカー非推奨の方法であり、シューズを傷めるリスクも伴いますのでご注意ください)。

Asics FujiSpeed 3 のスペック一覧

メーカーasics(アシックス)
商品名FujiSpeed 3
価格メーカー希望小売:17,600円
SKU1011B888.800
発売日2024年6月13日
重量M28cm 255g(US M10)
幅 /ラストスタンダード
ミッドソールFF Blast+
カーボンプレート有り(フルレングス)
スッタックハイトヒール:36mm
フォア:30mm
ドロップ:6mm
ロッカーロッカー:有り
つま先の反り上がり:約65mm
アッパージャガードメッシュ
アウトソールAsicsGrip
ラグ4mm
防水性無し
シューレースレーシングタイプ、吸水性有り
インソール取り外し不可
サーフェス得意:走れるサーフェス
苦手:パワーウォークを多用するような、テクニカルなサーフェス
タイプスピードワークアウト・レース
その他シューレースキーパー付き
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