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FUJISPEED 4
重量
M28cm 250g(US M10)
スタックハイト・ドロップ
ヒール40mm / フォア35mm / ドロップ5mm
ラグ
3.5mm / アシックスグリップ
おすすめの用途
スピードトレーニング、レース
主な特徴
2層のFF BLAST PLUSのミッドソール、フルレングスのPEBAXプレート、AsicsGripアウトソール
価格
メーカー希望小売:18,700円
FUJISPEED 4 がおすすめな人

トレイルランニングのレースで良い結果を出したい方や、プレート入りの反応が良いシューズを探している中〜上級者の方におすすめできる一足です。
プレートが内蔵されていることも含め、全体的に速さを追求した仕様のため、トレイルランニングを始めたばかりの初心者にとっては、足への負担が大きいかもしれません。
FUJISPEED 4 の良い点と気になる点

各社のレース用シューズが20,000円を簡単に超えてくるなか、実売価格15,000円前後で購入できるアシックスのFUJISPEED 4は、コストパフォーマンスの高さでも頭一つ抜けています。
良い点
- 伸縮性が少なく、通気性の良いアッパー
- プレート入りながら安定感のある履き心地
- 強い反発力でスピードに乗りやすい
- 3.5mmラグによる違和感のないライド感
気になる点
- 足当たりの硬さ
- 泥の多いサーフェスでは心許ないグリップ
サイズ感とフィット
サイズ感

ナイキやアシックスの28cmのランニングシューズを普段着用している筆者が、本モデルも28cmを選んだところ、期待通りのサイズ感でした。 ただし、ワイズ展開がスタンダードのみなので、普段3Eなどを履いている方には購入前の試し履きをおすすめします。
ヒールカウンター

すっきりとしたヒールカウンターにはプラスチックの補強パーツが入っており、かかと周りのフィット感とシューズ全体の安定感を高めています。

内部には必要最低限のパッドが入っています。約250gとトレイルランニングシューズの中ではかなり軽量な部類に入りますが、履き心地はより重量のある安定性の高いシューズにも劣りません。
タン

タンには、かなり薄いパッドが採用されています。タンにシューレースを通すループが設けられており、ズレ防止とフィット感の向上に寄与しています。
ただし、明らかに前作よりパッドの量が減っているため、ランナーによっては足の甲にシューレースの締め付けを感じるかもしれません。

シューレースホールに直接縫い付けるタイプのガゼットタンが採用されており、小石や砂などが物理的に入りにくい構造です。写真で分かる通り、アッパーは中が透けるほど薄く、非常に高い通気性を備えています。
アッパー

縦方向にも横方向にもほとんど伸縮しない、ナイロンのウーブンアッパーが採用されています。これにより生地の伸縮によるブレがなくなり、下りでも攻めた足運びが可能です。一方で、人によってはこのフィット感をストイックな履き心地だと感じるかもしれません。
アッパーはランニング中に風を感じられるほど通気性が良く、素材的にも保水しにくい仕様です。夏の暑い時期には積極的に選びたくなる一足です。
シューレース(靴紐)

近年のレース用シューズに多く採用されている、解けにくいタイプのシューレースがFUJISPEED 4にも採用されています。長時間トレイルを走ってもシューレースがずれて緩くなることはありませんでした。

シューレースホールは、1本のコードが巡るように配置されたシンプルな仕様です。ホールと紐の摩擦が少ないため、片方のシューレースだけを強く引っ張ると、紐の長さがちぐはぐになってしまうことがあるのでご注意ください。

タンに直接シューレースキーパーが縫い付けられています。ゴムに適度な抵抗感があるため、長時間のランニングでも靴紐が飛び出ることはありませんでした。
トゥボックス(つま先)

FUJISPEED 4のトゥボックスには補強材は入っておらず、枝や岩などに干渉しやすいエリアに補強用のプリントが施されています。この補強プリントとアッパー素材の組み合わせは、枝などが引っかかりにくそうな安心感があります。

トゥボックス周りの補強プリントも必要最低限に抑えられており、シューズの通気性を損なわない、無駄のないミニマルな作りです。
クッション

FUJISPEED 4は、2層の異なる硬さのFF BLAST PLUSが採用されているのが特徴です。ここが前作から最も大きく変わった点かもしれません。
1層目(足側)は硬め、2層目(地面側)は柔らかめの配合で設計されています。 これにより、着地の衝撃は地面側の柔らかい層で吸収し、足側の硬い層で安定性を保ちながら力強く蹴り出すという、トレイルでのスピードと安定性を両立させるための設計思想が感じられます。
前作の単層FF BLAST PLUSに比べると、若干足当たりの硬さを感じますが、安定性のレベルは格段に向上した印象です。人によってはこの点がデメリットに感じるかもしれませんが、全体的には順当な進化だと感じます。
ヒール(踵)
FF BLAST PLUS特有の弾むような感覚は足裏に直接伝わってきませんが、これは2層目(地面側)のミッドソールが効率良く衝撃を吸収している証拠とも言えるでしょう。
ミッドソール(中足分)
ヒール部と同様に、中足部も反発感と安定感が両立した不思議な感覚です。また、フルレングスのPEBAXプレートにより、路面からの突き上げはほとんど感じません。

FUJISPEED 4のミッドソールは、反発性に優れた2層のFF BLAST PLUSが、PEBAXプレートを挟み込む形で採用されています。 地面側の柔らかめのフォームで衝撃を吸収し、足側の安定性の高いフォームで推進力を生み出すという、スピードと安定感を両立させた設計です。
前作に比べて下りでの安心感は格段に向上しています。また、2層フォームの採用でレスポンスが向上したことにより、足さばきもしやすくなっています。
ロッカー

自然な足運びを促す、やや強めのロッカー構造(つま先が反り上がった形状)が採用されています。このロッカー構造とフルレングスのPEBAXプレートとの相乗効果により、脚の筋力消費を抑えながら効率的に走れる感覚があります。

つま先の反り上がりは約7cm(前作比+0.5cm)あり、ロッカーによる推進力の恩恵を明確に感じられる設計です。
安定性
左右の動きの安定性
FUJISPEED 4は前作と比較して、トレイルでの安定性が格段に向上しました。これは、2層構造のFF BLAST PLUSが採用されたことや、フォーム自体の配合が変わったことが大きく影響していると思われます。
特に、ゆっくりとしたスピードで走行時に、前作では気になった足が内側に倒れ込むような感覚や、シューズの揺れが大幅に軽減されました。パワーウォークが必要な急登やスピードに乗れない路面でも、ストレスなく履くことができます。
足側に少し硬めのフォームが採用されたことで、シューズ全体の安定感が大幅に増しました。また、フォームの変更だけでなく、フラットな形状のラグが採用されたことや、その配置箇所も安定性の向上に寄与しています。
ねじり剛性
FUJISPEED 4は高いねじり剛性を備えています。前足部の外側からはみ出す形でPEBAXプレートがミッドソールに挟まれており、シューズの外側方向へのねじり剛性は特に高く、この部分もトレイルでの安定感向上に貢献していると考えられます。
ミッドソールの硬さ
フルレングスのPEBAXプレートが内蔵されているため、縦方向の剛性も非常に高く、ミッドソールを縦に折り曲げようとしても、ほとんど曲がりません。
一般的にPEBAXプレートはカーボンに比べて適度なしなやかさがあるため、路面の変化が多い場面でも安定性を損ないにくいとされています。FUJISPEED 4の安定性の高さは、PEBAXプレートが採用されたことにも起因しているでしょう。
ヒールカウンターの硬さ
FUJISPEED 4のヒールカウンターには、比較的しっかりとしたプラスチックの補強材が入っており、かかとをしっかりと包み込む安心感があります。必要最低限の補強材が、ライトでありながら安心感のある履き心地を生み出しています。
重量

FUJISPEED 4の重量(編集部実測値)は、メンズ28.0cm(US 10)で約250gです。前作と比較して約5g軽量化されました。競合のトレイル用レーシングシューズと比較しても、トップクラスの軽さです。
アウトソール・グリップ
アウトソール

FUJISPEED 4のアウトソールには、グリップ力に定評のあるAsicsGripが採用されています。トレイルでの走りやすさに特化した、ラギッドでフラットな形状のラグが特徴です。
アスファルトの上でも、一般的なランニングシューズと遜色のない感覚で走れます。

前作の中央にラグが集中していたデザインとは大きく異なり、今作ではアウトソールのどの面で着地しても、接地面積がフラットになるようラグが配置されています。この変更点も、安定感の向上につながっていると推測します。
ラグの深さ

ラグの深さは約3.5mm(前作比-0.5mm)で、走行性を重視した高さが採用されています。ラグが埋まってしまうようなぬかるんだ路面には弱くなりましたが、硬い路面での走行感は明らかに向上しました。
濡れたサーフェスでのグリップ
FUJISPEED 4は低めのラグが採用されているため、路面状況によっては、ラグが凹凸に噛み合わず滑る感覚があります。凹凸の少ない濡れた岩場や、ラグが刺さらないぬかるんだ路面では、少し気を使う必要がありそうです。
下りと同様、ラグの高さが低いので、引っかかりの少ない路面では少し滑る感覚があります。ですが、自分の体でコントロールできる範囲なので、安心して履くことができます。また、AsicsGripは乾いた路面では全く問題なくグリップしてくれます。
登りと下リのグリップ
雨上がりの直後にテストをしましたが、フラットな接地面にしっかりと足を置けば滑るということはありませんでした。前作と比べ安定感が向上しているため、下りも積極的に攻められるシューズになったと感じます。
具体的には、下りでもコントロール感を失わず、スピードに乗れる感覚があります。
登りも下りと同様にしっかりとグリップしてくれました。コースやユーザーの好みに大きく左右される部分ではありますが、ラグが低くなったことによるデメリットよりも、走りやすくなったメリットの方を大きく感じます。
インソール

薄手のインソールがミッドソールに接着されており、取り外しはできません。お持ちのインソールに交換したい場合は、ドライヤーなどで慎重に温めながら剥がせる可能性はあります(ただし、メーカー非推奨の方法であり、シューズを傷めるリスクも伴いますのでご注意ください)。
(製品名)のスペック一覧
メーカー | asics(アシックス) |
商品名 | FUJISPEED 4(フジスピード 4) |
価格 | メーカー希望小売:18,700円 |
SKU | 1013A179.100 |
発売日 | 2025年8月21日 |
重量 | M28cm 250g(US M10) |
幅 /ラスト | スタンダード |
ミッドソール | FF BLAST PLUS(2層) |
カーボンプレート | 有り(PEBAXプレート) |
スッタックハイト | ヒール:40mm フォア:35mm ドロップ:5mm |
ロッカー | ロッカー:有り つま先の反り上がり:約70mm |
アッパー | ウーブンアッパー |
アウトソール | AsicsGrip |
ラグ | 3.5mm |
防水性 | 無し |
シューレース | レーシングタイプ、吸水性無し |
インソール | 取り外し不可 |
サーフェス | 得意:走れるトレイル 苦手:柔らかく濡れたサーフェス |
タイプ | スピードワークアウト・レース |
その他 | シューレースキーパー付き |
安定感と反発感を両立させた、バランスの良さが特徴です。伸縮性の少ないナイロンのウーブンアッパーが採用され、シューズ全体のホールド感がぐっと上がりました。