運動誘発性低血糖 (Reactive Hypoglycemia)
運動誘発性低血糖とは、運動中に血糖値が異常に低下する状態を指します。健康な人でも起こりうる現象で、特に持久系アスリートが経験することがあります。
主な原因は、運動による糖の利用が急激に促進されること(主に筋収縮活動による糖質の取り込み)に加え、運動開始の30分〜45分前に糖質を摂取したことでインスリンが過剰に分泌され、血糖値を必要以上に下げてしまうことなどが挙げられます。
症状としては、急な倦怠感や脱力感、集中力の低下、めまい、吐き気、頭痛、冷や汗、手の震えなどが現れます。重症化すると意識障害を引き起こす可能性もあります。これは体内のグリコーゲンが枯渇する「ハンガーノック」と混同されがちですが、運動誘発性低血糖は血糖値の急激な変動に起因する点で異なります。
予防策としては、運動を開始する1時間から1時間半ほど前に糖質を摂取することで、血糖値や血中のインスリン濃度の上昇が落ち着いてから運動を始められます。また、運動直前に少量の糖質を摂取する方法も有効です。