ファットアダプテーション (Fat Adaptation)
ファットアダプテーションとは、食事やトレーニングによって、体がエネルギー源として糖質ではなく体脂肪(脂質)を優先的、かつ効率的に利用できるように身体の代謝機能を変化させることを指します。別名「脂質代謝の改善」とも呼ばれます。
持久系アスリートにとって、体内に貯蔵されている糖質(グリコーゲン)の量には限りがありますが、脂質(体脂肪)の貯蔵量は非常に豊富です。そのため、運動時に体脂肪を効率よくエネルギーとして使えるようになれば、グリコーゲンの温存が可能となり、長時間の運動におけるエネルギー切れ(ハンガーノック)を遅らせたり、後半のパフォーマンス低下を防いだりする効果が期待できます。
この状態を達成するための具体的なアプローチには、主に以下の方法があります。
- 高脂質・低糖質食(ケトジェニックダイエットなど)の実施:食事から糖質を大幅に減らし、脂質の摂取割合を高めることで、常に脂質を利用せざるを得ない環境を体に作り出します。
- 低強度〜中強度の長時間トレーニングの実施: 脂質を主なエネルギー源とする運動強度で、長時間継続的に体を動かすトレーニングを多く取り入れることで、脂質分解酵素や運搬システムを活性化させます。
ただし、ファットアダプテーションには時間がかかること、また、高強度の運動には糖質が必須であることから、競技特性や個人の体質に合わせて専門家と相談しながら戦略的に行うことが重要です。
